今野製作所のチエ
今野製作所におけるモノづくりのチエとは、『目標達成意識』です。
お客様の『ほしい』を『かたち』にするためには、時には手持ちのワザ・設備・道具では難しい場合があります。
しかし、そこで諦めるのではなく、どうしたら『かたち』にできるかを考え、工夫することで解決してまいりました。
製品製作については、一人の職人が材料展開から仕上げまで一貫して担当することで、お客様の『ほしい』に合った、最適な加工方法の選択と組合わせを判断することができます。
それは仕事の内容が点から線になり、さらには面になるので、アイディアの幅に広がりが生まれるのです。これこそが『カスタム型生産』においては重要な要素なのです。そして、このアイディアの広がりは社内だけでは対応しきれない場合には、専門加工のパートナー企業と連携することで、中小企業という枠を超えた新たなチエとなるのです。
また、そこで生まれたチエを、お客様にフィードバックすることで、設計段階からの新たなチエをお客様と一緒に創造していくことが私たちの喜びでもあるのです。
新たなチエの創造は簡単なことではないのですが、そこにお客様の『ほしい』を『かたち』にするという強い目標達成意識があるからこそ私たちは常に最高のパフォーマンスを発揮できるものと考えています。
図面を読み解くチエ(図面に記載されていない『お任せ』部分)
1.溶接熱によるヒズミについてのチエ
図面には、製品としての寸法・形状が記載してあっても、溶接方法・溶接箇所の指定がない場合が多いのです。
溶接において避けては通れない問題が、溶接熱による『ヒズミ』です。
この『ヒズミ』を敵として戦うのではなく、上手に付合うことで、製品を所定の寸法・形状に組み上げます。
上手に溶接するには、溶接(運棒動作)のワザの正確さだけではないのです。極力溶接箇所を少なくする材料展開上の工夫がより重要といえます。
ここが板金屋の腕の見せどころであり、チエの使いどころです。
次に、『ヒズミ』は板厚・形状によっても異なるので、仮付け~本溶接の順序の見極めが重要になってきます。さらには、同じ寸法の製品であっても、強度重視なのか、外観重視なのか、あるいは密閉重視なのか・・・など用途を考慮した最適な溶接方法の選択が必要なのです。
- 強度を重視すれば、溶接箇所が増え『ヒズミ』が大きい。
- 外観を重視すれば、溶接箇所は減るが強度は落ちる。
溶接は、こうした複雑な条件の中での『総合判断力』が勝負であり、図面からこれらを読み解くことが必要です。今野製作所では、豊富な経験を持った職人が切断~仕上げまで一貫作業をしているので、ヒズミを考慮したモノづくりが可能です。
2.組合せ時の公差についてのチエ
組合せモノ(特に扉)の場合には、扉と本体(または扉と扉)が、±0で合わさるような図面も珍しくありません。
CAD上では特に問題ないのですが、実際の製品においては、±0では『扉がしまらない』といったことが発生してしまいます。
そこで、組合せモノの場合には、図面には記載されていない『組立公差』をどのように取るかが重要になってきます。
今野製作所では、組合せモノの経験も豊富にあるので、『組立公差』を的確に判断し、図面との相違点があればお客様にフィードバックすることで、より現物に合った設計のサポートも可能です。
製品事例:LED投影ボックス>>
3.『穴』加工についてのチエ
図面に記載されている穴加工は、穴を加工すること自体は特に難しいことではありません。重要なのは、どのような目的で穴を使用するかなのです。
例えば、基盤部品+スイッチASSY部品を取付ける穴の場合は、穴精度・位置精度が重要になってきます。さらには、穴の数が多ければ、レーザ加工機やCNC加工機などのCADデータを基に高精度加工できる方法を選択するのが最適です。ただし、この場合には、コストが高くなってしまいます。
固定用アンカー穴などの場合には、加工精度は重要ではなく、いわゆる『バカ穴』でよいのです。なので、この場合には、ボール盤やドリルなどコストの低い加工方法を選択するのが最適です。
このように、穴に限らず用途・コストにあった加工方法を判断・選択することが重要であり、今野製作所では長年の経験の蓄積があるからこそ、それが可能なのです。
製品事例:分析装置筐体>>
2次元・3次元CADを活用するチエ(職人と設計のコラボレーション)
1.3次元CADを部分的に使うチエ
立体的で複雑な構造の組立品の場合は、図面上では位置があっていても、実際に出来上がった部品を組合わせるとズレが生じてしまうために、『現物合わせ』での修正が必要となってきます。
旧来の職人ワザでしたら、この現物合わせでの修正作業も腕の見せどころだったのです。
しかし、今野製作所でのモノづくりにおいては、この修正作業はカイゼンするべき点であり、ズレの生じないモノづくりを目指しております。
そこで、有効となってくるのが、3次元CADです。今野製作所(板金オーダー.com)では、SolidWorksを使用して、組立てた時のシュミレーションを行い、修正作業のいらないモノづくりを行っております。
ただ、ここで私たちは初めから3次元CADで、製品全体をシュミレーションするのではなく、組合せ上で問題となる部分のみをクローズアップし、CAD化することで、正確な加工位置を割り出しています。場合によっては、レーザ加工を活用して、ズレの発生を根本からなくしています。
そして出来た部品は、職人によって組合されるのです。現代の最新ツールと職人ワザの『いいとこ取り』ができるからこそ、スピーディーな対応が可能なのです。
設計と製作を同時進行させるチエ
今野製作所では、ご要望によっては、設計作業から製品製作までを一貫してご提供しております。
その上で、問題となってくるのが、リードタイムです。
従来のモノづくりでは、設計→製図→製作と順を追って製品が出来上がっていきます。
量産の場合には図面がなくては製品製作は難しいので、当然の流れですが、『カスタム型生産』においては、製作個数は1個の場合が多く、図面が出来るのを待っていては遅いのです。
そこで、今野製作所では大まかな設計・仕様が固まった時点で、製作に入ります。そして、製作を進める上で、職人のアイディアを詳細設計に活かし、図面化していきます。
そうすることで、図面がより現実的となり、そこには職人のチエが入ったモノとなるのです。
すなわち、設計と製作を同時に行うことで、今までよりもスピーディーな対応が可能となったのです。